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東日本大震災から15年にあたって

更新日:2026年3月11日更新 印刷ページ表示

町長顔写真 大熊町長 吉田 淳​

東日本大震災から15年が経ちました。
この間、犠牲になられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、日常生活の基盤を失うという想像を超えた被害から、一つひとつ、生活を建て直してこられた町民の皆さまに心より敬意を表します。
また、当町に対する国内外からの暖かい支援に、改めて御礼申し上げます。

この15年、あっという間でもあり、長くもありました。

震災当時、私は役場の生涯学習課長に就いて1年目、55歳でした。それが昨年、無事に古希を迎えることができました。それを考えると「長い時間があっという間に過ぎた」という複雑な感覚を抱きます。
避難自治体の職員として働きながら、「本当に町に帰れるんだろうか」「どれだけの人が戻ってくれるのだろうか」と不安に思ったことはありました。復興の歩みが遅いと思う方もいらっしゃると思いますが、全町避難で住民ゼロになった町に1,500人強が住むまでになった。「よくここまで来た」というのが率直な気持ちです。

一町民としては、自宅は帰還困難区域にあり、特定帰還居住区域に含まれました。やっと除染の機会が巡ってきたということです。15年を経てようやく自宅をどうするか考える立場になったと考えると、長かったと感じます。同じ境遇の町民の皆さんことを考えると1日でも早い避難指示解除をと思います。

町の復興については、震災以降進めてきた整備計画がようやく目に見える形になってきたと感じています。

町で最初の復興拠点に位置付けた「大川原地区復興拠点」には役場をはじめ、公営住宅や交流施設、さらに教育施設を配し、拠点整備はほぼ完了いたしました。

特定復興再生拠点の「下野上地区復興拠点」においても、公営住宅の整備はほぼ完了しました。
大野駅西エリアでは昨年3月、産業交流施設「CREVAおおくま」と商業施設「クマSUNテラス」がオープンいたしました。住人や来訪者の活動場所として「駅西」が選択肢に加わり、人流が拡大しています。町のふるさとまつりや敬老会なども今年度初めて、駅西で開催し、震災前のようなにぎわいを感じることができました。

来年度には、住宅環境の整備を目的に、駅東の町有地に民間住宅整備の公募を行う予定です。顕著な住宅不足に対し、民間の賃貸住宅の誘致を図ろうとするものです。

産業創出も緒に就いたばかりですが、大熊ダイヤモンドデバイスやOKUMA TECHなど、大熊インキュベーションセンターで準備し、クレバや産業団地に事業所を構えるという、目指した創業の流れが生まれつつあります。

教育の町内再開も2023年に果たしました。
町に戻った当時は26人だった園児、児童生徒数が、この2月現在は100人となっています。3倍以上に増え、さらに転入希望の相談があると聞いています。0~15歳までの切れ目のない教育、子どもたちの自主性を大切にしようとする教育理念と、理念を形にした校舎が皆さんに評価されているものと考えています。
町に子どもがいる、このことは町民にとって復興を実感する大きな要因と考えます。

一方で、課題もまだまだ抱えております。

まず、避難指示区域がまだ町の半分に残っています。復興の大前提はふるさと全域の避難指示解除という町の方針は変わりません。

現在、令和5年度に国より認定を受けた「特定帰還居住区域復興再生計画」を3月中に変更できるよう、手続きを進めております。区域の拡大を図りつつ、国に対象区域の除染工事を早急に進めるよう求めるとともに、町内における上下水道や道路といった生活インフラの復旧工事を進めてまいります。

ただ、今の制度では、帰還意向のない土地や家屋などの取扱い、さらには農地の取扱いが不明で、議論が進んでおりません。町として、これらの課題解決のため、引き続き国と協議を重ね、町内全域の避難指示解除に向けて努力をしてまいります。

町の避難指示区域には、中間貯蔵施設や第一原発が含まれます。

中間貯蔵施設につきましては、昨年、国から今後5年のロードマップが示されましたが、具体性に欠けるものでした。また、2045年までの工程も示していただくよう求めております。
最終処分後の跡地利用の検討も必要です。地上権設定をした町民、売っても貸してもいない町民に対して、国がどのような道筋を示せるかが大事だと考えています。跡地の方針について、2045年3月から計画するということでは困ります。

2045年3月まで19年。これから最終処分の量や質を見定め、処分場を選定し、移動することを考えると、残された時間は多くありません。国は責任感を持って進めてほしいと思います。

中間貯蔵施設や廃炉、避難指示解除の道筋などは、町だけで解決できる問題ではなく国全体の課題ととらえています。これらを進めずに今後の町の復興はないと、国には常々申しているところです。

記憶の風化も課題です。

15年を経て、震災時の記憶が薄れてきているのを実感しています。町職員も入れ替わりが進み、災害対応した職員は減っています。
町の震災記録誌は平成28年度、避難先で編さんしておりますが、それ以降の記録がありません。来年度事業として続編の作成を指示したところです。

また今年度、「大熊町文化財保存活用地域計画」を策定いたしました。今後、町の記憶を継承していくための指針とするものです。この計画策定と並行し、中間貯蔵施設内の町資料に関する調査等を進めてまいりました。長期にわたり、広域的に立ち入りが規制される中間貯蔵エリアでどのような資料の保存や活用がありうるかを検討するものです。

中間貯蔵施設内の建物のうち、町所有であり規模の大きい熊町小学校をサンプルとして、建造物の劣化の状況などを調査しており、3月中には結果がまとまる予定となっております。調査結果を基に、保存や活用の方法を検討する協議会を立ち上げる予定ですが、調査に時間を要したため、協議会による本格的な検討は次年度に実施することといたしました。拙速に答えを出すべきものではないと判断したためです。

熊町小学校も含め、2045年3月までは中間貯蔵施設として立ち入りが規制されます。未除染の帰還困難区域でもあります。一般的な震災遺構のような公開はできないことや、建物の劣化状況を鑑みて何ができるかという難しい検討をいただくことになりますが、皆さんの知恵をいただきたいと思います。

これからも大熊町の復興に向けた取り組みは続きます。

今も昔も、人がいて、雇用があって、納税されて、町は成り立つ。町が存続していくためには、人口を増やすことが必須で、そのためにも働く場所の確保が重要です。企業誘致を進めるため、二つの産業団地に加え、西大和久地区復興拠点という三つ目の団地整備に着手いたしました。産業創出とともに、雇用が生まれるような企業誘致を進めます。

人口増には住宅の確保も欠かせません。町内にアパート等を建設する際の補助事業を行うほか、住宅の取得や修繕、賃貸住宅に居住する際の家賃などを支援しております。宅地分譲も進め、総合的に住宅不足を解消する取り組みを展開してまいります。

理想を絵に描いても、具体性が伴わなければ意味がありません。未来を語るのに、現実的で面白みに欠けると思われるかもしれませんが、雇用をつくり、町に住む人を増やす。町が自立して存続するための施策を一歩一歩進めたいと考えております。

一方、町が掲げる理念として、いち早くゼロカーボン宣言をいたしました。世界的にゼロカーボンの取り組みに逆行するような動きも見える中で、CO2削減を訴え、実行していく重要性は増しています。エネルギー政策に翻弄された町だからこそ、持続可能な再生エネルギーの活用をまちづくりの基軸に据えてまいります。

町全域の復興には、これまでの15年以上の時間がかかると覚悟しております。
過去を大切に、未来を見据え、これからも復興に取り組んでまいります。

令和8年3月11日
大熊町長 吉田 淳

 


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