○大熊町ゼロカーボンの推進による復興まちづくり条例

令和3年9月16日

条例第22号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 基本方針(第7条―第12条)

第3章 二酸化炭素排出量の把握(第13条―第15条)

第4章 住宅・建築物に係るゼロカーボン推進施策(第16条―第20条)

第5章 推進体制(第21条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関し、基本理念並びに本町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、地球温暖化対策の基本となる事項を定めて、2040年までの脱炭素社会の実現を図り、もって原子力災害からの復興と現在と将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに、持続可能な地球世界の実現に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるものとする。

(1) 地球温暖化対策 二酸化炭素その他の温室効果ガスの排出の抑制並びに吸収作用の保全及び強化その他の地球温暖化の防止並びに気候変動影響による被害の防止並びに軽減その他生活の安定、社会及び経済の健全な発展並びに自然環境の保全を図るための施策又は取組をいう。

(2) 脱炭素社会 人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。

(3) ゼロカーボン 環境の保全と地域の経済及び社会の発展を統合的に推進しつつ、脱炭素社会の実現を図るための取組をいう。

(4) 原子力災害からの復興 東京電力福島第一原子力発電所の事故に起因する長期の全町避難、環境汚染その他の深刻、かつ、多大な影響をもたらした災害から、安心して暮らし、子どもを生み、育てることができる生活環境を取り戻し、持続可能な地域社会の再生を図ることをいう。

(5) 再生可能エネルギー 太陽光、風力、小水力、バイオマスその他の資源又はそれらから製造した水素その他の二次燃料から得られるエネルギーであって、地域に賦存する資源を活用して永続的に利用することができると認められるものをいう。

(基本理念)

第3条 ゼロカーボンの推進による復興まちづくりは、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 原子力発電所の事故により全町避難を経験した町だからこそ、気候変動の影響によって同様の境遇に置かれる人々が生じないよう、世界共通の課題である気候変動問題の解決に率先して取り組み、かけがえのないふるさとの次世代への継承に貢献すること。

(2) 地域でできることはまず地域で行うとの理念にのっとり、町、町民及び事業者は、原子力災害からの復興に向けて自ら主体的に行動すること。

(3) 行政機関、民間事業者、地球温暖化対策に関わる民間団体その他の様々な主体が連携し、多様な知見を取り入れ柔軟に変化に対応すること。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念にのっとり、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する施策を総合的、かつ、計画的に推進するものとする。

(町民の参画と責務)

第5条 町民は、日常生活において、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する取組に積極的に参画するとともに、町が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の参画と責務)

第6条 事業者は、事業活動において、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する取組に積極的に参画するとともに、町が実施する施策に協力するよう努めなければならない。

第2章 基本方針

(基本施策等)

第7条 町は、次に掲げる基本方針に基づき、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する施策を講じるよう努めなければならない。

(1) 先駆的な取組の実施

(2) 再生可能エネルギーの地産地消

(3) ゼロカーボンを生かした快適な暮らしと産業創出

(ゼロカーボンビジョン)

第8条 町は、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する施策を総合的、かつ、計画的に推進するための計画(以下、「ゼロカーボンビジョン」という。)を定めなければならない。

2 ゼロカーボンビジョンには、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する方針

(2) 2040年までの脱炭素社会の達成に必要な二酸化炭素の排出削減、再生可能エネルギーの導入及び森林吸収源対策並びにそれらの推進に必要な施策

(3) その他ゼロカーボンの達成に必要な事項

(財政上の措置)

第9条 町は、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(町の率先実施)

第10条 町は、その事務及び事業に関し、次に掲げる地球温暖化対策に関する取組を率先して実施するものとする。

(1) 公共施設におけるエネルギー消費性能の向上に関する取組

(2) 町有財産における再生可能エネルギーの導入及び緑化の促進に関する取組

(3) 自動車等の使用に伴う二酸化炭素の排出の抑制を図るための取組

(4) 前各号に掲げるもののほか、地球温暖化対策のために必要な取組

(エネルギー使用の効率化等)

第11条 町、町民及び事業者は、事業活動及び日常生活において、化石燃料を使用する家電製品、給湯設備等の使用を削減するよう努めるとともに、エネルギー使用の効率化に努めなければならない。

(再生可能エネルギー電気の利用促進)

第12条 町、町民及び事業者は、電気を用いたエネルギー使用機器を優先して利用することにより、再生可能エネルギー電気の利用が普及促進されるよう努めなければならない。

第3章 二酸化炭素排出量の把握

(エネルギー消費量等の報告)

第13条 町内に事業所を有する事業者(国又は地方公共団体の事務及び事業を含む。以下この条において同じ。)は、毎年度、別に定める様式により、事業活動に伴うエネルギーの消費量等について、町長に報告しなければならない。

2 町長は、前項に定める報告を簡便な方法で行うことができるよう努めるとともに、事業者に対して、エネルギー消費量等及びその事業活動の状況に応じて、必要な指導及び助言をすることができる。

(町内エネルギー事業者による情報提供等)

第14条 町長は、町内でエネルギー事業を行う事業者(電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条に定める電気事業者、揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和51年法律第88号)第2条に定める揮発油販売業者及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和42年法律第149号)第2条に定める液化石油ガス販売事業者であって、町内に事業所を有するあるいは町内で電気、ガソリンその他のエネルギーを販売等する事業者をいう。以下、「町内エネルギー事業者」という。)に対して、毎年度、別に定めるところにより、脱炭素社会の達成のため、エネルギーの供給量等に関する情報の提供を求めることができる。

2 町長は、町内エネルギー事業者に対し、ゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する施策の実施に必要な協力を求めることができる。

3 町内エネルギー事業者は、事業運営上その他の正当な利益を害すると認められる場合を除いて、前2項に基づく情報提供等の求めに協力するよう努めなければならない。

(二酸化炭素排出量の公表)

第15条 町長は、第13条の規定により報告されたエネルギー消費量等及び前条により提供されたエネルギー供給量等に基づき、町内のエネルギー利用に起因する二酸化炭素排出量を算定し、ゼロカーボン達成に向けた進捗管理に役立てるものとする。

2 町長は、前項により算定した町内二酸化炭素排出量について、毎年度、議会に報告するとともに、公表しなければならない。なお、本項に基づく報告及び公表は第21条と併せて行うことができるものとする。

第4章 住宅・建築物に係るゼロカーボン推進施策

(住宅・建築物のエネルギー性能の確保)

第16条 住宅及び建築物(以下、「住宅等」という。)の新築、増築、改築又は修繕等(以下、「新築等」という。)をしようとする者は、当該住宅等を利用する者の健康で文化的な生活を担保しつつ、当該住宅等の利用に伴い生じる二酸化炭素の排出削減を図るため、断熱、空調その他のエネルギー消費性能及び太陽光発電その他の再生可能エネルギー利用設備について、別に定める基準を満たすよう努めなければならない。

(建築物周辺の緑化の推進)

第17条 住宅等の新築等をしようとする者は、当該住宅等周辺の生活環境の向上を図るため、緑化の推進に努めるものとする。

(特定建築物のエネルギー消費性能等の報告)

第18条 特定建築物(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年法律第53号)第11条に定める特定建築物をいう。)の新築等をしようとする者(以下、「特定建築主」という。)は、当該特定建築物に係るエネルギーの消費性能の確保に関する計画等について、次に掲げる事項を記載した別に定める届出書によって、当該新築等に係る工事に着手する前の別に定める日までに、町長に報告しなければならない。

(1) 特定建築主の氏名及び住所

(2) 特定建築物の名称及び所在地

(3) 特定建築物の概要

(4) 特定建築物のエネルギーの消費性能等

(5) その他町長が必要と認める事項

2 町長は、前項に定める報告を簡便な方法で行うことができるよう努めるとともに、特定建築主に対して、エネルギー消費性能等に応じて、必要な指導及び助言を行うことができるものとする。

(特定建築物における再生可能エネルギー利用設備の設置)

第19条 特定建築主は、特定建築物又はその敷地に、再生可能エネルギー利用設備で、特定建築物からの二酸化炭素排出量の削減に寄与するものとして別に定める基準に適合するものを設置しなければならない。

2 特定建築主は、次に掲げる事項を記載した別に定める届出書を、特定建築物の新築等に係る工事に着手前の別に定める日までに町長に提出しなければならない。

(1) 再生可能エネルギー利用設備の種類

(2) 利用することが可能な再生可能エネルギーの量

(3) その他町長が必要と認める事項

3 前項の届出をした特定建築主は、特定建築物の新築等に係る工事が完了するまでの間に、同項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、速やかに別に定める届出書を町長に提出しなければならない。ただし、別に定める軽微な変更については、この限りでない。

(特定建築主に対する勧告及び公表)

第20条 町長は、特定建築主が前条第2項の規定による届出をした場合において、その届出に係る事項が同条第1項の規定に適合しないと認めるときは、当該特定建築主に対し、再生可能エネルギー利用設備の設置に関し、特定建築物に係る工事の設計の変更その他必要な措置を講じるよう勧告することができる。

2 町長は、前項の規定による勧告を受けた特定建築主がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。

第5章 推進体制

(施策の実施状況の報告及び公表)

第21条 町長は、毎年、町が講じたゼロカーボンの推進による復興まちづくりに関する施策の実施状況の概要について、議会に報告するとともに、公表しなければならない。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第3章及び第4章の規定は、令和4年4月1日から施行する。

大熊町ゼロカーボンの推進による復興まちづくり条例

令和3年9月16日 条例第22号

(令和4年4月1日施行)