写真館現像室


【第四回】


 あの震災から早1年2ヶ月が経ちましたが、依然、町の状況が好転した訳でもなく、それぞれ町民が避難先での慣れない生活に不安と焦燥感を抱きながら暮らしています。

 今振り返れば、突然、避難を強いられた私たち、事態をよく知らないまま大切なものを放置しなければならなく、誰かに伝えたかった言葉すら伝えられなかった状況を思い出すと悔しい思いもしました。


 今まで考えもしなかった非日常を経験したことで、当たり前のように過ごしていた事を思うと、少しでも以前暮らしていたような町に戻したい気持ちが日々強くなってきます。

 そんな時、全国から寄せられた応援や、地元の方々の善意に心打たれて涙した事もありました。


 津波の被害に遭った岩手や宮城の被災地は着実に復興が進んでいます。

 しかし、私たちの故郷は復旧したくとも中に入ることすらできません。いたずらに時間ばかりが過ぎ去る状況ですが、私たちそれぞれが思い描く復興に少しでも近づけること、多くの方々から受けた厚意に報いるためにも、町民同士や地元の方々と絆を深め合いながら、復興に歩む姿を全ての人に知ってもらいたいと思います。



平成24年5月14日(木)





【第三回】


ふるさと大熊町を離れ、もうすぐ一年が経過しようとしています。

この一年を振り返ると、震災以前と以後で、自分の中のふるさとに対する思いや日本の中における大熊町の意味について考えさせられました。

今自分が被災地の人間となり、初めて、同じ国で生活する中でも時間の流れの違いや意識のズレがあると感じました。

昨年の震災前も、どこかで災害が起き、家族が亡くなられたり、家を失ったりする方をテレビのニュースを通して見る機会がありました。
心を痛め、何か出来ることはないかと考えたりもしましたが、どこか遠いところの話、少し時間が過ぎれば過去の話と感じていました。 こんなに狭い日本という国に一緒に暮らしているのに、どこか他人事でした。
今はそれをとても反省しています。

この写真館は、他の地域の方からの同情をいただきたくて開設しているのではありません。

今、世の中の方からは、ふるさと大熊町は町全体が線量が高い地域で、汚染の酷い町というだけの印象を持たれていると感じます。

確かに今現在、町は大変厳しい状況の中にあります。
ただそれは、3月11日以後のことであり、また、それが未来永劫続くわけではありません。

私はこの写真館を通して県外の方々にも、美しい大熊町、活気と笑顔がある大熊町を知っていただき、発信していきたいと考えています。

現在の状況を考えれば、早期に3月11日以前の大熊町に戻すことは大変困難なことだと感じます。
しかし、長い時間がかかろうと、ふるさとを忘れず、大熊町民としての誇りを胸に、それぞれの目標に向かって共に頑張っていければと思います。

大熊町で生まれ、町に育てられ今の自分があるのだから。


平成24年2月16日(木)





【第二回】


いわき連絡事務所を開設し4ヶ月が経ちました。

被災地であるいわき市沿岸部では未だ津波の傷跡がのこり、車を運転していると道路の起伏が激しいところもあります。
しかし、3.11から10ヶ月が過ぎ、復興に向けて作業が急ピッチで進み、市民の生活も安定し、徐々に震災前の姿を取り戻しつつるように感じます。

そこで第二回目は復興に向けて動き出したいわき市街地や市内の仮設住宅の様子を知っていただきたく、テーマを「浜通り、南からの復興」としました。

いわき市は冬の日差しや風の強さなど気象条件が大熊町と似て、折に触れて故郷を思い出します。

しかし、すぐ近くにある私たちの故郷大熊町は、安易に立ち入ることができません。

まるで手の届かない遠く離れた場所にあるようにも感じます。
私たちを無理やり故郷から引きはがした原発事故。
愛する故郷を復興させる自由を奪われた事を思うと悔しく、そして悲しい気持ちになります。

ただ、今は前を向かなくてはなりません。現状は違えど、大熊町も同じ浜通りです。
復興できないわけがありません。

「いつかきっと大熊町へ」

その気持ちを皆で持ち続けることが、復興への強い絆となると信じています。



平成24年1月18日(水)





【第一回】


大熊町を離れ、はや9か月が過ぎました。
当たり前のように過ごしていた大熊での日々を、ある日突然奪われるとは想像もしていませんでした。

この9ヶ月間、悲しみ、寂しさ、怒り、悔しさ、本当に何度となく絶望し、これからの自分の未来を悲観しました。

近所のあの人は、今は何処でどんな生活をしているんだろう。
庭の紅葉は、今年も綺麗な色に染まったのかな。

今、町を離れ、初めてふるさとの大切さを知り、そして自分の中の大熊町の大きさを感じました。

「大熊町写真館」の開設に当たり、第1回目のテーマを「おおくまのこどもたち」としました。

子ども達の笑顔が、負けそうになった時や諦めそうになった時、次に進もうとする勇気をくれます。
子ども達が、町の希望だと私は思います。

子ども達の写真のほかに、大熊の行事写真も掲載させていただきました。
写真をご覧いただき、活気あるふるさと大熊町を思い出していただければ幸いです。

今は、ふるさとを離れそれぞれ別々の土地で生活をしていますが、大熊町でのたくさんの思い出を胸に、今はしっかり前を見据え共に頑張りましょう。

心にいつも大熊町を。



平成23年12月12日(月)





 東日本大震災前の大熊町での様子、東日本大震災以降の様子をみつめながら、明日のおおくままちを考えていきたいと思います。

 ご意見・ご要望は大熊町役場 までご連絡ください。