大熊町長より新年のごあいさつ

謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

東日本大震災および福島第一原子力発電所事故から早6年9か月が経過しました。いまだ、全町民が長期の避難を余儀なくされておりますこと、たいへん心苦しく思っております。復興の歩みが遅いとの声も多くいただきますが、昨年を振り返りますと町内では大きな動きがありました。

9月、復興拠点と位置付ける大川原地区で、平成30年度中に完成を目指す役場新庁舎をはじめ、商業施設、町営住宅、交流施設等の建設を進めるための基盤整備事業起工式を行いました。また11月には、特定復興再生拠点区域の整備計画が国の認定を受けました。これにより大野駅や県立大野病院周辺を含めた約860ヘクタールの除染が実施されますが、これらは大川原の復興計画と連動して一体的に取り組んでいかなければなりません。また今回拠点外となった区域についても引き続き町土の荒廃防止に努め、再生に向けた取り組みを継続してまいります。

10月末に設立したおおくままちづくり公社は、農地や宅地等の不動産の維持管理に関する対応や、イベント企画等も含めて幅広く相談できる窓口としての役割を担う組織であり、大きな 期待が寄せられています。

また、中間貯蔵施設では、受け入れ・分別施設や土壌貯蔵施設が本格運用を開始し、減容化施設の火入れ式も行われました。町内をはじめ、被災地の復興に弾みがつくと期待しています。一方で、先祖伝来の土地や生まれ育ったふるさとを失う苦しみを味わい、苦渋の決断をされた皆さまには、断腸の思いであろうとお察しいたします。町長として、また一人の町民として、その苦しみを共有する気持ちを持ち続けなければならないと思っています。

震災からの年月の経過は、少しずつ心の傷を癒してくれる一面もありますが、長期避難により、時間の経過とともに重くのしかかってくる面も多いのではないでしょうか。心の復興の重要性が叫ばれていますが、できるだけ町民の皆さまに寄り添い、多様なニーズに応えたいと思います。避難生活が続く中では、高速道路無料措置、国保税等の減免のほか、絆維持事業の継続など心のゆとりにつながる施策に引き続き取り組んでまいります。

鎌倉市に避難している私の友人の一人が、時々会いに来て町の将来について目指すべき姿を熱っぽく語ってくれます。「残念ながら大熊町は汚染され厳しい状況にある。ならばそれを克服して、美しく咲き誇る花木を植樹して日本一美しい桃源郷をつくればいい」と。四季折々の花木を植え、維持管理し、末代まで守る。花木に囲まれた美しいふるさとを町民の皆さんと共につくり上げてゆく。このささやかな新春の夢を、必ず実現すると誓います。

皆さまにとりまして明るく良い一年となりますようお祈り申し上げます。

大熊町長 渡辺 利綱