平成29年度施政方針

施政方針

3月7日から16日まで開かれた大熊町議会定例会の初日、平成29年度の施政方針を表明しました。これは、4月からの町政運営の基本方針を説明したものです。今回は重点施策を一部要約してご報告します。皆さんが町政への理解を深める一助となれば幸いです。


大熊町長 渡辺 利綱

重点施策

◆役場庁舎建設
平成31年3月の完成を目指し、町内大川原地区に役場庁舎を建設するため、設計業務等に係る予算を計上しました。庁舎建設に向けた敷地造成のため、現在の場所にある大川原連絡事務所を今年7月、大川原第一集会所に移転します。
◆広報
町公式ホームページをリニューアルします。避難者支援や絆維持などこれまでの役割に加え、帰町を見据えた復興状況についての幅広い情報発信を強化するためです。利用者の年齢や身体的条件、アクセス環境に関わらず情報伝達を可能とする環境を整え、発信力の強化に努めます。
◆税務
当初予算における税収額を35億7,847万9,000円と定めました。適正な課税に努めるとともに、引き続き税負担軽減を図る減免措置を講じていきます。徴収、特に、滞納処分については税の公平性を確保するため、税務署、県税部、郡内他町村の動向を見極めながら実施していきます。
家屋の被害状況調査は、これまでに申請のあった家屋について、平成29年度中に完了できるよう進め、追加で調査要望のあった家屋にも対応します。
◆健康保険
当町の国民健康保険は震災以降加入者が増加し、予算規模が増大していましたが、最近は社会保険加入者が増え、国民健康保険加入者が減少したことで、医療費が安定してきています。今後も特定健診受診率の維持に努め、医療費適正化の推進を図っていきます。
国民健康保険、後期高齢者医療における保険税・保険料および医療費一部負担金の免除に対する国の財政支援については、それぞれ平成30年3月末、平成30年2月末まで継続される見込みで、今後も避難生活が続く限り、国や県に財政支援を要望していきます。
平成30年度からは、国民健康保険法一部改正により、国保の財政運営を県と町が共同で担うようになります。町民が現在受けている医療水準の低下を招かないよう、保険事業の安定的な運営に努めます。
◆福祉
高齢福祉については、町社会福祉協議会と連携し、見守りと生活支援の強化を図っていきます。平成29年度から、震災後中断していた敬老会を再開します。また、郡内町村と連携を取りながら帰還に向けた福祉関連施設の整備を進めていきます。そのほか障害者福祉、乳幼児・児童福祉についても、法令や事業計画に基づき、状況に応じた福祉事業を展開しながら町民福祉の向上に努めます。
◆健康
「生活習慣病の予防」と「心の健康づくり」を重点目標に掲げ、事業を展開します。健康相談や総合健診事後指導会などで、生活習慣病の発症予防や重症化予防に努めるとともに、長期化する避難生活により心身に不調を抱える町民が増えていることから、関係機関と連携を図りながら訪問・相談等による町民の心のケアに努めていきます。
◆介護
介護保険事業については、平成28年度に実施した高齢者ニーズ調査の結果を受け、避難実態に応じた第7期介護保険事業計画を策定します。高齢者が自立した生活ができるよう、多様な介護予防事業を提供していきます。また、避難先自治体との連携を強化し、町民に寄り添った包括業務の展開に努めます。なお、平成29年度も引き続き、第1号被保険者の保険料の減免と利用者負担金の負担軽減措置を行い、利用者の経済的な負担を軽減していきます。
◆大川原の復興拠点
用地取得を本格的に進めるとともに、造成工事に着手し、併せて整備予定の復興公営住宅、商業施設、医療施設などの各種施設の基本計画を策定し、帰町できる環境整備を進めます。
◆帰還困難区域
福島特措法改正に合わせて帰還困難区域内に除染と公共インフラ整備を一体的に実施する「特定復興拠点」の整備計画を策定し、より多くの区域の避難指示解除に向けた取り組みを進めます。「特定復興拠点」外の今後についても引き続き検討します。
◆まちづくり会社
町民の皆さんからも要望があった町内の遊休不動産の活用について、今年1月より、企画調整課内に設置したまちづくり会社準備係で検討を行っていますが、平成29年度には法人設立を目指します。事業としては、遊休不動産の活用や公営施設の維持管理などを想定しています。
◆アーカイブ
当町が経験した震災の記録を残すため、平成28年度に引き続きJR大野駅を中心とした町並みや中間貯蔵施設予定地外の教育施設等の3Dデータ化、復興により変わりゆく「大川原地区」「下野上地区」の空撮による記録等を行います。蓄積した記録は、将来町内に整備を検討しているアーカイブ施設で公開し、長く将来へ残していく考えです。
◆タブレット端末
平成29年度から新機種を配布します。旧端末に比べて通信速度が向上していることに加え、町民同士が情報交換できる機能を盛り込むなど、利便性や操作性が向上しています。今後3年間は端末に必要な情報を適時配信するとともに、きずな維持につながる情報提供に努めます。
◆中間貯蔵施設と賠償
中間貯蔵施設は土地所有者の理解がなければ成り立たない事業で、地権者の理解をいただく努力をすることを環境省に対し強く求め、施設の安全性についてもしっかり対応するよう申し入れます。
原発事故に伴う損害賠償は、全ての項目にわたって賠償請求が行われており、中でも原子力損害賠償紛争審査会における第4次追補の住居確保に係る損害賠償が進んできている状況です。しかし、原発事故に起因する損害は継続している状況にあるため、引き続き避難生活の実情に応じた損害賠償を求めていきます。
また、これからが復興の本格時期となりますので、国に対しては復興財源確保を強く求めていきます。
◆住宅支援
応急仮設住宅から恒久的な住宅への移行が進み、県が整備する復興公営住宅は空き住戸の募集枠が徐々に減少しています。入居を希望する町民が、応募の機会を逸することのないよう注意喚起します。住宅再建に関しては各種補助制度を紹介しながら、安定した住まいへ円滑に移行できるよう支援していきます。
会津若松市内の応急仮設住宅は12か所から6か所に集約されました。いわき市内では復興公営住宅が平成29年度末までに全戸完成する予定で、応急仮設住宅からの住み替えが進みます。応急仮設住宅全体の入居率が低下し、入居者の孤立や防犯上の懸念も生じることから、今後も仮設住宅の統廃合を検討し、経年劣化による不具合にも、速やかに対応します。
◆生活支援
2年目となる「生活サポート補助金制度」は個別相談の機会を増やすなど、申請の支援体制の充実を図ります。また、震災後に結婚を機に町民となった方や出生者に結婚祝金および出生祝金に準じた支援を、新たに検討します。町民の皆さんにふるさとを感じていただく生活応援物資の配布や、買い物・通院を支援するバスの運行を継続します。
◆コミュニティ支援
国の復興支援員制度の活用を継続し、震災後、各地で活動している町民コミュニティの運営を支援します。このほか、仮設住宅の自治会を含め、コミュニティ団体への補助支援や、交流施設の運営により、町民同士が交流できる機会を引き続き提供します。
◆生活環境
大川原地区で新たな町営墓地の造成に着手し、併せて利用者の募集に向けて準備します。
町内全域でのごみ回収、狂犬病予防注射などの畜犬管理、既存の共同墓地の環境整備などを引き続き行います。
◆防犯・防災
防犯カメラや車のナンバー認識システムでの監視、帰還困難区域での 巡回警備、帰還困難区域以外での見回り隊の巡回を継続して行うとともに、引き続き県警本部に大熊駐在所の再開を要望します。
防災行政無線やエリアメールによる警報など、町内立ち入り時の住民の安全確保に努めます。今後の帰還に対応するため、町地域防災計画の見直しに着手します。
昨年の仮設住宅の火災を教訓に、訪問による火災予防の徹底、消防団の資機材の保全管理や町内の防火用水等の確認、検閲や訓練を行い、帰還まで消防団の継続強化に努めます。
◆特例宿泊
中屋敷、大川原地区での特例宿泊は5月の連休、お盆、お彼岸等に実施し、帰還できる環境を検証し、避難指示解除に向けた準備宿泊の開始時期を検討します。
◆ライフライン
熊川の海岸堤防、河川の護岸整備調査を進めることにしています。
町民が立ち入る際の安全確保のため、幹線道路の除染や町内パトロールでの町道、農道、水路、溜池等の点検を実施しています。特に防災・防火対策として重要な水路の通水を図るための維持管理を重点的に実施していきます。
◆大川原・中屋敷
第二次復興計画では、帰還に向けた生活環境の整備を進めていますが、復興拠点と位置付けている大川原地区で、平成29年度より18.2ヘクタールの拠点整備に着手する予定です。
◆除染と交通網
JR常磐線が平成32年度の全線開通に向けて順調に整備が進められており、大野駅周辺の除染とともに、帰還困難区域内の広範囲を早急に除染実施するよう要望しています。常磐道大熊インターチェンジ(仮称)についても平成30年度完成に向けて鋭意取り組んでおり、原発の廃炉・中間貯蔵施設予定地への運搬のための専用道路整備を進めていきます。
◆坂下ダム
ダム管理システムが徐々に復旧しているものの、今後も警報局を含めた完全復旧とダムの適切な維持管理に努めます。坂下ダム周辺は震災以前の姿に戻りつつあり、町民の癒しや休息の場として利活用できる環境整備を目指します。
◆農林水産業
居住制限区域、帰還困難区域で福島大、京都大と連携した営農再開に向けた調査を引き続き実施します。農地保全では、今年7月の発電開始を目指して大川原地区の農地に約16ヘクタールの太陽光発電設備を設置します。
植物工場は用地の造成および施設整備を実施するとともに、事業計画の策定など法人設立に向けた準備を進めます。この事業により町内の産業活動を再開させ、農業に対する希望、町民帰還、雇用創出、営農意欲の向上を図ります。
震災後初めてとなる熊川での鮭稚魚放流事業も実施します。
◆商工観光業
避難先で事業再開している方、大熊町に戻って事業を再開したい方がおり、町商工会と連携しながら経営支援対策を図ります。
「語り部」に震災や避難生活の状況を語り継いでいただくことで震災の風化防止を図り、「おおちゃん小法師」を各地のイベントに積極的に参加させて、大熊町復興PRに努めます。ふるさとまつりは引き続き会津若松市、いわき市での開催を計画し、町民のふれあい交流の場を提供します。
◆下水道
昨年の特例宿泊で大川原農業集落排水処理施設が再稼働しており、他の施設も復興拠点整備に合わせて現地調査し、供用を開始していきます。
◆学校教育
園児、児童・生徒数の減少に歯止めはかかっておらず、依然として子どもたちや保護者に厳しい環境が突きつけられていますが、少人数であっても「大熊町の学校で学んでよかった」と子どもたちに言ってもらえるような、豊かで、質の高い教育環境を本年度も整備していきます。読書活動と体験活動を柱に、一人ひとりの良いところや個性を引き出す教育を徹底します。具体的には、日常的なICT活用を含め、本町でこれまで実践してきた子どもが主体的・協働的に学習するアクティブ・ラーニングと呼ばれる方法にさらに力を入れます。会津大学をはじめ各方面からの講師陣の派遣は力強く、今後も積極的に取り組みます。
◆社会教育
読書旅行や県民スポーツ大会への参加などを通じ、町民の学びと交流が広がるように努めます。平成28年度に立ち上げた「地域学校協働本部」を仲立ちとして子どもたちの「ふるさと創造学」の活動を通し、互いに学び合う場となるよう努めます。文化財等の保護にも努めます。
町の中・長期的な教育の在り方を論じていただく「大熊町未来教育会議」を昨年度立ち上げました。この会議を継続すると共に「総合教育会議」で教育委員と当面する課題について意見交換を続けます。