新年のご挨拶

震災、原発事故から早3年9カ月が経過しました。不自由な避難生活が続く中で、大変な思いをされている町民の皆さんが今年こそ希望につながる、よい年になるようにと願っています。復興への歩みは遅いですが、私たちの周りにも復旧、再生に向けた槌音が響いてきました。

次世代を担う子どもたちの教育の場として双葉郡初の中高一貫校が来春、広野町に開校します。宇宙飛行士の山崎直子さんや俳優の西田敏行さんら著名人の応援団も講師陣に名を連ねています。世界に飛び立つ人材の輩出を期待します。

インフラ整備の大きな柱として常磐自動車道の3月1日の全線開通が発表されました。人や物の流れが加速し、復興に弾みがつくものと確信します。昨年9月には国道6号線の通過交通も可能になりました。今後はJRの一日も早い復旧を要請していきます。先月半ばには会津若松市の復興公営住宅「古川町団地」が入居可能となりました。作業員や資材確保が困難な中、ご尽力いただいた関係者に感謝申し上げます。いわき市、郡山市などでの整備も進むよう願い、併せて、入居者の皆さんが地域の方々とよき交流関係を築けることを望みます。

下野上地区を中心とした本格除染にも取り組み、帰還を目指す環境づくりに努めます。復興拠点と位置付ける大川原地区は、給食センターの稼働を核に、植物工場や再生可能エネルギー施設の設置なども計画しており、着実に前進できるよう準備を進めます。

大きな課題である中間貯蔵施設の整備につきましては、町民説明会と地権者説明会の後、双葉町とともに、さらなる丁寧な説明を国に求めました。その後、30年後の県外搬出の法案成立、県による地権者への生活支援予算の計上、区長有志による町の早期判断の申し入れなどを踏まえ、議会と協議し、区長会への説明を経て、苦渋の判断ではありましたが、建設受け入れを容認しました。先祖代々の田畑を失い、墓も取り上げられる苦しみを思うと、まさに断腸の思いであり、お金や物に代えられない大切なものを無にすることは他人ごとではありません。苦しみを共有し、悩みを分かち合いながら前に進んでいきます。

昨年も会津若松市といわき市でふるさとまつりを開催することができました。再会を喜び、懐かしく談笑する皆さんの姿が印象に残ります。町制施行60周年の記念行事もありました。何事もなかったならば素直に喜べたものと複雑な気持ちですが、立ち止まってもいられません。年末には大熊中学校の生徒さんが町役場で発表会を開き、町の復興策を提言してくれました。中学生の視点で語られた思いは、いずれも古里再生への建設的な意見ばかりで、胸を熱くさせました。子どもたちに元気をもらい、未来への決意を新たにしました。

原発事故の収束をはじめ課題は山積ですが、新年からは副町長を2人制とし、住民サービスの向上に努めます。議会と連携を密にし、職員と一丸で町の復興、再生に全力を注ぎます。

結びに町民の皆さまのご健康、ご多幸を祈念し、ご挨拶に代えさせていただきます。


大熊町長 渡辺 利綱