国の避難指示区域における各賠償項目の考え方

国が避難指示区域における各賠償項目の考え方を発表しました

経済産業省が、避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方を取りまとめましたので、お知らせします。

賠償基準は、賠償の実施主体である東京電力株式会社が定めるものですが、今回の賠償基準は避難指示区域の見直し及び今後の被害者の方々の生活再建に密接に係わるものであるため、政府としても被害を受けた自治体、住民の方々の実情を伺い、それを踏まえて賠償基準に反映させるべき考え方を取りまとめることとしました。

今後、この賠償基準の考え方を受けて東京電力が具体的な賠償基準を策定することとなっています。

1.避難指示区域における各賠償項目の考え方

1.不動産(住宅・宅地)に対する賠償
◆ 基本的な考え方
(1). 帰還困難区域においては、事故発生前の価値の全額を賠償し、居住制限区域・避難指示解除準備区域は、事故時点から6年で全損として、避難指示の解除までの期間に応じた割合分を賠償する。
住制限区域・避難指示解除準備区域において、避難指示の解除時期に応じた割合分は以下のとおり。 事故時点から6年経過以降:全損、5年:6分の5、4年:6分の4、3年:半額(6分の3)、2年:6分の2
(2). 解除の見込み時期までの期間分を当初に一括払いをすることとし、実際の解除時期が見込み時期を超えた場合は、超過分について追加的に賠償を行うこととする。
解除の見込み時期は、市町村の決定があればそれを踏まえて決定することとしているが、事前に特別な決定がない場合は、居住制限区域であれば事故時点から3年、避難指示解除準備区域であれば事故時点から2年を標準とする。
◆ 事故発生前の価値の算定
(1). 土地 宅地については、固定資産税評価額に1.43倍の補正係数をかけて事故前の時価相当額を算定する。
(2). 建物 住宅については、固定資産税評価額を元に算定する方法と、建築着工統計に基づく平均新築単価を元に算定する方法を基本とし、個別評価も可能とする。
(ア) 固定資産税評価額に補正係数をかけて事故前価値を算定する方法
1. 当該不動産が新築であると仮定した場合の時価相当額を算定する。
A). まず、事故前の固定資産税評価額を元に経年減点補正率(減価償却分)を割り戻して、当該建物の新築時点での固定資産税評価額を算定する。
B). 次に、A)で算定した固定資産税評価額と新築時点での時価相当額との調整を行うため1.7倍の補正係数をかける。
C). さらに、新築時点と現在との物価変動幅を調整するため、それぞれの建築年に応じた補正係数をかける。
2. その上で、公共用地の収用時の耐用年数(木造住宅の場合は48年)を基準とし、定額法による減価償却を行い、築年数に応じた事故発生前の価値を算定する。また、残存価値には20%の下限を設ける。
3. 外構・庭木については1.で算定した時価相当額の15%として価値を推定しつつ、そのうち庭木分として5%は経年による償却を行わないこととする。
(イ) 建築着工統計による平均新築単価から事故前価値を算定する方法
1. 建物の居住部分(注)については、建築着工統計における福島県の木造住宅の直近の平均新築単価をもとに、(ア)と同じ減価償却、残存価値の下限、外構・庭木の評価を適用して、事故発生前の価値を算定する。
2. その際、築年数が48年以上経過した建物の居住部分(注)については、最低賠償単価(約13.6万円/坪)を適用する。 (注)事故時点に自己の居住の用に供されていた部分
(ウ) 土地・建物について、様々な事情により、(ア)や(イ)の算定方法が適用できない場合には、別途個別評価を行う。その際、契約書等から実際の取得価格を確認し賠償額の算定に用いる方法なども検討する。
(3). 住宅の修復費用等 住宅について、早期に修繕等を行いたいという要望も強いことから、基準公表後、建物の賠償の一部前払いとして、建物の床面積に応じた修復費用等を速やかに先行払いすることとする。
具体的には、個人所有の建物について、当該床面積に比例した金額(1㎡当たり1.4万円)を支払うこととする。
◆ 事業用の不動産等の賠償

事業用不動産や償却資産、田畑、森林等については、その収益性は営業損害の賠償に反映することを基本とし、加えて、資産価値についても別途賠償を行うこととするが、適切な評価方法については継続して検討する。


2.家財に対する賠償
(1). 家族構成に応じて算定した定額の賠償とし、帰還困難区域は、避難指示期間中の立入などの条件が異なり、家財の使用が大きく制限されること等から、居住制限区域・避難指示解除準備区域と比較して一定程度高くなる設定とする。
なお、居住制限区域・避難指示解除準備区域は立入回数がより多くなるという前提で、立入に要する費用を算定し、一括払いを行う。
(2). 損害の総額が定額を上回る場合には個別評価による賠償も選択可能とする。

(単位:万円)

世帯人数 1名 2名 3名 4名 5名
  大人 1名 2名 2名 3名 2名 4名 3名 5名
子ども 1名 2名 2名
帰還困難区域 325 595 635 655 675 715 735 775
居住制限区域 避難指示解除準備区域 245 445 475 490 505 535 550 580
上記家族構成以外の場合も構成人数に応じて定額を算定。

3.営業損害・就労不能損害に対する賠償
(1). 営業損害、就労不能損害の一括払い 従来の一定期間毎における実損害を賠償する方法に加え、一定年数分の営業損害、就労不能損害を一括で支払う方法を用意する。
  (ア) 農林業 :5年分 ※1
  (イ) その他の業種 :3年分 ※2
  (ウ) 給与所得 :2年分 ※3
  ※1  一括払いの算定期間は、農林業については、2012年1月分から2016年12月分まで。ただし、2012年1月分から2012年6月分について既に支払われたか、又は支払われる予定の額があるときには、その額を除いた額とする。
  ※2  一括払いの算定期間は2012年3月分から2015年2月分まで。ただし、2012年3月~6月分について既に支払われたか、又は支払われる予定の額があるときには、その額を除いた額とする。
  ※3  一括払いの算定期間は2012年3月分から2014年2月分まで。ただし、2012年3月~5月について支払われた、又は支払われる予定の額があるときには、その額を控除した額とする。
  ※4  漁業については検討中。
  ※5  大企業(同規模の公益法人を含む。以下同じ)については、一括払いの対象外とする。
(2). 営業・就労再開等による収入は差し引かず 営業損害及び就労不能損害の賠償対象者が、営業・就労再開、転業・転職により収入を得た場合、一括払いの算定期間中の当該収入分の控除は行わない。
  ※1  大企業は本取扱いの適用対象外とする。
  ※2  就労不能損害で控除を行わない収入は月額50万円を上限とする。
(3). 事業再開費用等 帰還して営農や営業を再開する場合、その際に必要な追加的費用に加え、一括払いの対象期間終了後の風評被害等についても別途賠償の対象とする。

4.精神的損害に対する賠償
(1). 2012年6月以降の精神的損害について、帰還困難区域で600万円、居住制限区域で240万円(2年分)、避難指示解除準備区域で120万円(1年分)を標準とし、一括払いを行う。
(2). 居住制限区域、避難指示解除準備区域について、解除の見込み時期が(1)の標準期間を超える場合には、解除見込み時期に応じた期間分の一括払いを行う。 その上で、実際の解除時期が標準の期間や解除の見込み時期を超えた場合は、超過分の期間について追加的に賠償を行うこととする。

2.旧緊急時避難準備区域等における賠償の方針

(1). 住宅等の補修・清掃費用 住宅等の補修・清掃に要する費用として、30万円の定額の賠償を行うこととし、これを上回る場合は実損額に基づき賠償するものとする。
(2). 精神的損害・避難費用等の賠償 中学生以下の年少者の精神的損害について月額5万円として2013年3月分まで継続するとともに、全住民について、通院交通費等生活費の増加分として、2013年3月分までを一括して一人当たり20万円を支払うこととする。
(3). 営業損害・就労不能損害の賠償 営業損害については、2013年12月分まで、就労不能損害(勤務先が避難指示区域外の場合)については、2012年12月分まで継続するとともに、一括払いの選択肢を用意する。また、一括払いの算定期間中の追加的な収入については賠償金から控除しない。
(4). 早期帰還者等への精神的損害の賠償 早期帰還者・滞在者については、避難継続者との賠償の差異を解消する観点から、遡って支払いを行う。
(5). 旧屋内退避区域等への対応 旧屋内退避区域及び南相馬市の一部については、避難継続者に対して2011年9月末まで精神的損害の賠償金が支払われていたことから、早期帰還者及び滞在者に対してもその間の精神的損害の賠償について遡って支払いを行う。また、家屋の賠償、営業損害等についても、旧緊急時避難準備区域の考え方に準じた扱いとする。